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gumi-gumi代表の軍地彩弓さん・SIMONE代表のムラカミカイエさんをお招きして、『ファッションとテクノロジーの未来』をテーマとしたトークイベントを開催しました。

FASHION CREATIVE 東京会談Vol.2
─テクノロジーの進化によりファッション業界で今起ころうとしていること

司会
「今日は、ファッションとテクノロジーの未来をテーマに、幅広くご活躍されるお二人からお話を伺います。まずは、ファッション業界で今起ころうとしていることから始めたいと思います。」

軍地さん
「幅が広くて、語らないといけないことが多い。今ファッション業界はネガティブなニュースが多いですね。業界全体に元気がなくなっている。大手ブランドが縮小したり閉めたりしている。異業界の人からは、ファッション業界は終わりみたいなことまで言われるし。業界が大きく変わってきつつあって、急速にシュリンクしている。これはしようがないと言えばしようがない。」

ムラカミさん
「要因はいろいろありますが、大きくは、自己表現のツールとして機能していたファッションが、SNSの誕生によってライフスタイル全てがメディアになった。その分、ファッションに使う世の中のお金が限られてきたという話。」

軍地さん
「あとは、確実に肥大化したということ。需要に対して増えたのではなく、場所を増やし埋める事を優先してしまっていた。ブランドと店の数が増えているのに、人口つまり買う人は減っている。この現象を自覚して変わらなきゃと思っていた。さらにITの躍進などで世界は変わっているのに、ファッション業界はテクノロジーを使えずに遅れていた。変化に追い付けない数年だったんですよ。今年2015年はターニングポイント。まさに、なくなる仕事・残る仕事が出てきますね。そして新しく生まれる仕事も出てくる。そこはどう思いますか。」

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―なくなる仕事・残る仕事 新しく生まれる仕事

ムラカミさん
「当たり前の話なんですが、テクノロジーで代替えできる仕事はなくなります。ファッション業界のIT分野へのテクノロジー導入が遅れていたのは、これまでの世界がずっと続くと思っている人が多かったことと、単にどう使うべきかが分からない人たちが多かったから。服一着を作る背景には、いまだに沢山の人や会社が関わっていて、これだけ中間コストがかかっている業界って珍しいわけです。その工程が60年間変わっていない。この構造下で、商品力やコストを切り詰めて成長してきた日本のメーカーの力はすごかったんですが、インターネットがうまれ、人々のファッションへの意識が変わり、また情報や流通分野において世界は大きく転換しようとしていたのに、多くのファッションメーカーはその力を見誤った。そのツケがいまきている。経営者と現場の認識は当時から食い違っていたけど、やっと真剣に議論していくタイミングに入ったのかなと思う。当然、原資は限られているので、経費を削るべきところと増やせるところを考えるのは経営者その仕事。いよいよそのフェーズに来たというのが最近の大きな流れの一つでしょうね」

軍地さん
「じゃあ、その中で具体的に削減できるところってどこでしょう。」

ムラカミさん
「生産管理に関わるところはシュリンクします。メーカーは、生産・企画・営業・PR全部内包しているところが多いけど、小さいブランドでは自社の強み弱みに合わせて、個々にアウトソーシングしているのが当たり前です。その分、利益は減るものの、リスクヘッジや違う分野への投資ができる。いい企画力を持っているところほど、そういったやり方をしていて、成果が出たら少しずつ足りない機能や人材を内部に雇用して内政化していくようにしている。あと、PRも変わってきていますね。服の貸出だけでは生き残れません。人とブランドをつなげたり、どの属性のどういった強みを持つメディアにだして、どのくらい数字が出たかを効果計測できないといけない。企画も改めて大切な時代に入りました。衣服はいま簡単にコピーできるので、急速に均質化しています。20世紀の後半は、編集能力があれば良かったけど、これからは、編集能力ありきで、0から1にできる人に価値がある。ファッションが細分化されていくこれからの世界では、メガヒットを生む人よりも、オリジナリティのあるデザインを作り、ファンとの強い関係性を作れる人材が強みを増してくると思います。」

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―システムが変わる

軍地さん
「周りで見ていて、システムが変わってくるのはよく見えますよね。情報がどうものづくりに集まってくるかということで、物事が変わってくる。今までは自分のブランドで作ってきたものを前年比から成長するようにプランニングしていました。けれど、今までのようなシーズンの読み方などをもっと数値化して、見直す必要がある。同じことを繰り返してきた会社は数値が落ち、何かをやったところは数値があがっている。何をやったかと言えば、お客さんの流れを変えて行っただけ。顧客をデータ化していて、導入の仕方とDMなどの仕方を変えて行った。その結果お客さんとの接点を変えられた。」

ムラカミさん
「その数値って無関係ではないと思っています。テクノロジーやマーケティングの重要性を感じていた会社は、放っておいても成功してきたし、そこが見抜けなかった会社は、病状が相当悪化した状態で相談にやってきます。そこからの持ち直しは大変だし、費用もかかる。時代に適合していくスピード感や危機管理意識は、この変化が当たり前の時代では、敢えてコストをかけて取り組んでおくことの一つです。」

軍地さん
「売れないと言われているファッション業界の中で、今年はガウチョパンツがすごく売れている。インスタグラムやTVで広がったんですね。ガウチョってワードが通用するのかなと思っていたけど、雑誌よりもNAVERまとめやTwitterのキーワードで広がったし、40~50代にはTVが有効だった。情報の起点が紙媒体だったのが、インスタグラムやWEARなどのアプリに変わったのが現実。雑誌屋としては悔しいけど、当然の流れかなと。売れる構造が変わっていくけど、売れるものはちゃんと売れるということと、そこにはテクノロジーが入っていると理解されている。」

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―学ぶべきは3つ 歴史と経済とテクノロジー

ムラカミさん
「これからの時代、ITへのリテラシーは、当たり前に身につけておくべきです。世界の市場バランスは、リアルと、インターネットの持つ仮想空間の半分に分配され、その規模は時間をかけながらまず50対50の比率に近づいていきます。20世紀にファッション産業は、ファッション誌というメディアの影響で大きく変わりました。大戦後の混乱の中でトレンドという言葉を生み出し、ファッションフォトを多用し多くのオーディエンスにファンタジーを提供し、この産業を拡張していきました。当時、それはいま言われているテクノロジーに値する、革命でもあったわけです。ファッションは常に変化する産業です。そのために常に備えておかなければいけないことがあります。まずは歴史について学び、変化することが当たり前だと知ること。次に、どこからお金が動くのか世界経済の流れを知っておくこと。そして、最新のテクノロジーにいつも耳を傾けておく。この3つはファッションだけでなく我々の生活全てに影響することです。これを知っておくだけで何が起きても動揺しなくなる。」

軍地さん
「どうしても、ファッション業界の中で完結しがちですよね。だけど、経済でものが動き、テクノロジーが世界を変えているのだと理解して受け入れるべき。実際大きい流れがありますよね、とくにファッション業界では、流通にITが変革を起こしている。オムニチャネルってありますよね。」

司会
「オムニチャネルについて、あまり浸透していないようですので、ご説明お願いします。」

ムラカミさん
「あらゆるところにチャネルがあるよねということで、どこでも買えるようにインフラを整えて行くのが重要ですねという話。どの企業も取り入れるべき、とされている仕組みのひとつです。21世紀になって、インターネットが変えたのは情報コストです。どこにいても物事が伝えられるのと同様に、今、流通に関しても色々な変革が起こっていて、インターネット上で動くお金、市場規模や価値はとても大きいのでこの市場を奪い合う為に、ECサイトでは運送コストを負担する動きが出ています。僕らは外出しなくても物が買える時代になっています。人の行動、ものが買われるプロセスが変わりはじめています。Web上のブランディングをやっていればお店が無くても売り上げがたつ、そういう新しいマナーができはじめるなど、大きな変化が生まれています。」

軍地さん
「O2Oとも言われていますが、例えば表参道のお店に行って欲しい服の在庫がなかった。そうしたら、店員がiPadで Eコマースの在庫を調べて、翌日にはお客さんの手元に商品が届くようにできる。そんな流れが出来ている。さらに、顧客の囲い込みが出来ていくし、何を買ったかというビックデータを管理する事も出来る。」

ムラカミさん
「優良な顧客を抱え続けるためには、人による高い接客がとても大事。これはネットが力を増して行けば増していくほど相対的な価値として上がっていくものです。そして、その接客を支えるためにシステムやデータが有用になる。顧客が今まで買ったものから趣向をデータ化し、次の接客に活かしていきます。以前買ったアイテムに合わせられる商品を進めることもできるなど、アナログな実店舗にも、テクノロジーが大きく反映される時代になっていきます。」

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ー海外での動向や変化・事例について

軍地さん
「THE NET SETという5月にできたばかりのサイトなんだけど、SNSになっていて、セレブの人がインスタとかにいいね!を挙げたものをそのまま買える仕組み。自分のインスタとかに出したものからも、趣向に合った色やデザインの商品を検知して、ピックアップされてアラートしてくれる。SNSがメインで、その裏にEコマースがあるという内容。まだインビテーション制なので広がってないけど。可能性は大きいですね。」

軍地さん
「あとNET-A-PORTERは今、最大のEコマースになっていて、最近日本版もリリースされた。一番おもしろかったのがネット上に雑誌を作ったこと。アイテム紹介だけでなく動画も入れていて、情報とEコマースが一緒になっている。」

ムラカミさん
「メディアコマースですね。最近では、雑誌も出していますね。」

軍地さん
「そう。先にEコマースが出来ていて、その後本を出した。テクノロジーからアナログに移行した。こういうものも海外の事例としてあるし、その他にも変わってきているEコマースもありますね。」

ムラカミさん
「変わったものは沢山ありますが、何よりも取扱高で世界No.1、2のAmazonやアリババにも既に色んなアパレルが出店していますし、もう標準化されたと言っても過言ではないですね。一方で、先ほどの接客の話にも通じるのですが、テクノロジーの力が大きくなるほど、価値が上がる職業の一つとして、寿司屋の職人が挙げられます。目利き力が必要な仕入れから、酢飯の温度をはかり、ネタによって切り方や仕込みを変えるといった技術力、鮨屋ならではの繊細な空間つくりにまで渡る、複合的な仕事は人工知能では完結できない。しかも世界中どこにいっても求められる人材です。こういった話のなかで越境というテーマが改めて重要視されてきています。いま各分野で活躍している人は共通してその力を持っています。」

軍地さん
「私は25年位編集者をやってきて、そのうち10年は愚直にやってきた。そのなかで知見は出来てくる。さらに10年もやっていれば人脈が蓄積された。残りの5年で知見と人脈をどう広げたかにかかっていたと思うのね。最近マルチにやりたいという相談を受けんだけど、マルチは結果論。多彩なジャンルに渡って仕事ができる結果であるって言いたい。人の話を聞いて新しいことを取入れていると、仕事やジャンルを越境することになっていて、これがマルチな活動という結果になっている。芽のあるものはどんどん取り上げてトライしてみようと思う。ルールやジャンルを超えた者勝ちだと思う。」

ムラカミさん
「日本人の美学なのか、単にチームビルディングが下手なのか、ひとりで仕事をやりとげる事がすごいっていう感覚がこの国にはありますよね。最近アメリカでは、スタートアップを立ち上げる際に、ハッカーであるエンジニア、ハスラーと言われるお金を調達する人、ヒップスターとして人の前に立てるカリスマ性のある人、この3つのHが揃うと、会社が上手くいくって言われているんだけど、このバランスってとても大事だと思うんです。自分一人でこの3つを持つのが一番強い。けれど一人で持てないなら、特化した才能をもつ仲間を見つけてチームバランスが保たれれば、どんな状況でもほぼほぼ乗り越えられると思う。」

軍地さん
「上手くいっている企業を見ていると、絶対チーム化しているんですよね。チームでひとつのプロジェクトを進める時に、得意な人が集まってやっている。1人の人がやるより沢山のトップの人が集まってやることで成功している。」

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ー伝統とテクノロジーの融合

軍地さん
「京都で200年続く西陣織の老舗が、反物の幅を変えたことで、テクノロジーと融合できた事例がある。GUCCIのプロジェクトで、細尾真考くんという京都の西陣織の十二代目が、アーティストのスプツニ子さんと組んで、バイオテクノロジーで光るシルクを作った。彼が画期的に西陣織を変えたのは、基本的に西陣織は帯しか作れなかったのが、大きなファブリックも作れるように織り幅を変えたことです。その結果、既存の西陣織を越境し、Diorなどで使われるようになり、海外からの注文がくるようになった。たったひとつ、織幅という伝統を変えただけで一気に広がったんですよ。伝統工芸がテクノロジーやネットワークを利用して成功した良い例です。日本のファッションのものづくりって本当にすごいから、ちょっとの仕組みを変えるだけで、実は上手くいくようになる。でも今は、変えないと上手くいかないという分かれ道に来ているのかなと。」

ムラカミさん
「分かれ道の規模でいうと、1800年代後半の産業革命の時代のインパクトっていまと同じぐらい大きかったんですよ。それまでは、ほとんどの繊維がウールと麻だけだった。そこに綿栽培が始まって、更にミシンが出来たことで服の生産量がたった10年で1000倍も増えた。それに比べたらいまの変化って確かに大きいんだけれど、失望するほどのことでもないわけです。いま行われているのは、意識の変化。よく誤解されがちなんだけど、それは仕組みやモノの話というよりは、僕らのマインドの中に答えがある。これはインターネットというものの存在やそのいく末に答えがある。」

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ー売り方の変化

軍地さん
「今は、テクノロジーのおかげで、スタートアップを個人でし易い環境がある。クラウドもあるし、クラウドファンディングや政府の補助金でスタートし易くなっている。売る場所もネット上で始められるし。だけど、どうやって人に知らせるのかってことができていない。売り方を考えると言うことが大事。最近は企業からも相談される。昔なら、JFWに参加するのを否定していた。ショーにお金かけるなら、形を作りなよと進めていた。」

ムラカミさん
「以前はファッションショーをやるより、カタログを作ったほうが良いんじゃないの?っていうのが、ちょっと前までの僕らのアドバイスだった。でも最近では、インフラが変わったことで、カタログ作ったら1回しか分配できないけど、いまはネットのほうが広がる速度が速くて、しかもショーをやれば、それなりのフォトグラファーが来て、WWDやらSTYLE.COMなどのメディアにも写真が載るし、アーカイブもしてくれるから、その写真をシェアしたほうがコストも安いし、多くの人に見てもらえるんじゃないかって話になるわけです。いまはまず、どれだけ多くの人に知らせるかが大事。カタログ作っても、ショーやっても自分のクリエイティブを外に吐き出すっ行為ていうのは変わらないわけで、どれだけ費用対効果とか、情報の電波経路を考えて正しい選択をできる人かが重要。」

軍地さん
「まずは、イベントとか人が集まるような、アナログなことをやってくださいって言うんですね。例えばプレスリリースを編集者に回して、ネットメディアに送ると言う手もあるんだけれど、そこから外に出て拡散する力は弱い。2年前に、インフルエンサーだけ呼んでお土産も渡す展示会をやったんです。インスタグラマーを中心に、もちろん、補完的にTwitterやブログなど、とにかくネットメディアに書ける人を50人集めた。フレームを作って、拡散したくなるような道具を使って演出をしたら、やっぱりすごい拡散量になったんですね。場を中心にアナログな事をやって、伝搬させるっていうのはSNSありきで、テクノロジーの力だと思っています。こういうやり方を場メディアって呼んでいるんですけど、新しい広告の作り方になっている。起点がイベントや対面などアナログなコミュニティから、そこからSNSなどに載ってメディアに拡散していったり、Eコマースに流れたりしている。場所をメディア化させるのが有効になっているんですね。アナログありきのテクノロジーだと思う。」

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―これからのモノづくりについて

司会
「最後にこれからのファッション業界のモノづくりについて、今後どうなっていくのか予測をお聞かせいただけますでしょうか。」

軍地さん
「モノづくりに関しては2極化ですね。ちゃんと情報化して売れるものをたくさん作っていくか、物語をつくっていくか。物語というのは、すごくクリエイティブな物で、心が温まるようなエシカルな背景があって、きちんとモノづくりをする人が生みだす物は売れています。私が良いなと思っているブランドは、どこも売れています。モノづくりの背景が見えているほうが今必要とされているんですね。例えばハイブランドで10万円のバックより、革細工で手作りの10万円のバックのほうがユーザーにとってはすごく価値がある。そういうものを作っている人が報われる時代になっている。山にこもって作っていた人も、それを伝えるネットメディアを使って作品を外に出せる。問題は言語とどの会社のEコマースに載せるか。海外のどこでも買えるシステムが必要だと思う。モノづくりをきちんとやっているところと海外で通用するシステムがマッチすれば、必ず売れるし、モノづくりをしている人は報われると思う。私は、インターネットは人生をバラ色にしたと思う。ひとりひとりの幸せを作っているし、そういうポジティブな部分をちゃんと極められている人に限って、いい社会だと思います。」

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ー贅沢で特別な紙の存続とインフルエンサーの可能性

司会者
「では質問コーナーにうつります。」

質問者1
「2つあります。NET-A-PORTERのお話の時にあったのですが、Eコマースとエディットのビジュアルから、紙というアナログに戻ってくる理由について、サイト自体のブランド力を高めるためなのか、古い世代に広めていくためなのかというご意見をいただきたいのがひとつ。もう一つは、場メディアについて。アナログからSNSに拡散するうえで、影響力のある人はモデルや有名人に限られているような気がするのですが、SNSだけで成り立っていくのか。ほかにTVや雑誌が残っていくのかお聞きしたいです。」

軍地さん
「NET-A-PORTERは、ブランディングにおいて紙に戻ったと思いますね。PORTERができた時は、ニューヨーク中のタクシーに広告を出したほどで、紙を作るというのは、すごく贅沢なことになっていると思う。原価率も高く特別なことになっているのだと思う。その中で美しいビジュアルを残していくことで、NET-A-PORTERの価値を高めていると思う。高い年齢層に到達させるためと、本屋で出会うようなフリーの客を取り込むものでもありますよね。フリーペーパーにしなかったのは、クオリティ価値が高い物を目指して行ったからだったと思う。100万や200万する商品も平気で出てくるようなEコマースなので、ブランディングと高い拡散性を求めて紙を作っているんだと思う。紙の価値を分かっていて作るか、どうかは重要。私がNumeroに移ったときに、紙の価値を上げましょうと言いました。美しいビジュアルを紙で残すことにこだわった。紙をめくる感触やインクの香りなどが人に記憶を与えると思う。だから、Webによって紙を無くすことはできないと思う。」

ムラカミさん
「PORTERが出た時に、初めどうなるかなと思ってたんですけどね。シンガポールやLAのビバリーヒルズに出張に行った時、街角の本屋でHarper's BAZAARのとなりにPORTERが置いてあって、ああ、これわかりやすいなって。確かに、Harper's BAZAARの読者層はNET-A-PORTERで買い物している率は高いはずなんだけど、こういう並べ方されたら、知らない人も手に取るよなって。リアルなタッチポイントで、高いクラス感のある場所に置かれる価値付けがされたPORTERはすごい。アメリカの風土もあると思いますけど、新参者に常にドアが開かれているっていうね。」

ムラカミさん
「あと、インフルエンサーって話だと、YouTubeの世界では自分のチャンネル作って自主的に運営してお金持ちになっている素人の人、既に沢山いますよね。ファッションはそういう意味ではまだまだ遅れている。僕たちがキャンペーンやるときは、モデルに、インスタグラムのフォロワー何人いますかってオーディション時点で必ず訊きます。その人がどのくらいのファンを持っているのか知りたいという、制作側の意図としてあります。」

軍地さん
「今だとSNSから生まれたスターもどんどん出てきている。日本のブロガーって読モなどの紙媒体出身やタレントの人が多いんだけど、そうじゃない人がプロブロガーとして、逆に紙媒体に取り上げられる時も来ると思う。」

軍地さん
「読モってフリーランスだから、タレントのように垣根がない。そういう人たちは発信力を持っていて、TVにもTwitterにもなんにでも出る。メディアの垣根を超えられる人の露出は増えてくると思う。これからは、逆転現象も起きると思うし、両方だと思う。日本ぐらいですよ、タレントさんだけインスタグラムで上に上がってくるのは。海外だと、モデルの価格がインスタグラムのフォロワーかけるいくらってなっている。」

ムラカミさん
「そうなんですよね。僕らクリエイターは、本来クライアントにこのプロジェクトがどういうコミュニケーションを通して、どういう結果をもたらすのか、という説明義務がある。多くのデザイナーが誤解しているけど、ゴールを定め、その結果を出すことが何よりも重要。それができないデザイナーは消えていくと思いますよ。モデルも同様で、今まではその起用理由で、こんな大きな雑誌に出てからとか、曖昧にできていたけど、もうインスタグラムのフォロワー数やエンゲージメントも突っ込まれるという現状がある。高いクリエイティブの上に、数字という分かりやすい指標があれば何も言うことがない。SIMONEはそういうロジックがあるから長年支持され続けている。」

ーアパレルはやめて、ファッションに戻ったらいい

軍地さん
「ファッションに興味ないって人にとっては、ファッションって確実に機能化しているんです。お洋服を着る事すら考えたくないと言うか。街を歩いていると、どよーんとするときがありますね。この人にとってファッションって必要なんだろうかって。でも、その人たちの興味があることから、ファッションに入っていけるってのはありなのかなと。ファッションやっている人が、ファッションのカテゴリの中でだけ話をしているからつまらないのかなとも思う。シーンや機能から、お洋服を選ぶような考え方もありますよね。例えば、プッシュ機能みたいなので、その人の年齢や性別などの属性に応じたコーディネートを見せるなんて事もテクノロジーで出来るようになると思う。ファッションの考え方を拡大して行く。なにもデザイナーの服を着るだけがファッションじゃないと思う。あとはどういうシーンで何を着るか。誰といるか、だから何を着たいのか。シーンからファッションを拡大して考えて行ける。」

ムラカミさん
「ファッションって、コトの話だから、アパレルとファッションを切り離して考えたほうが良い。」

軍地さん
「うーん、そう。一言で言うと、アパレルはやめたほうがいいよね。もう結論を言っちゃうと、やっぱりデータでモノを作るより、人のマインドに合わせたモノを作ったほうが良い。私が言うアパレルは構造としてのファッションなんだけど。こういうものを作ったほうが良い、すでにあるアイテムをちょこちょこと幅を変えたり形換えたりして、製造してきたのがアパレルの発想だとすると、原点のファッションというのは、人が着たい服を作ればいいと思う。機構としてのアパレルは卒業してもいいのかなと思う。」

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ー好きな事は続けられる 好きなことをとことんやればいい

司会
「最後におふたりから一言ずつメッセージをお願いします」

軍地さん
「好きなことをやればいいと思う。好きなことをやる為の道具を見つけましょうと、それは調べればすぐにわかる。今はいくらでもツールがあって、今私が20代だったらどんなにバラ色だろうかと思いますよ。そのためにはたくさんの人脈を作って、沢山の情報を得て欲しい。今生きている意味を考えて、人生を楽しんだほうが良い。2015年は大変革の年になる。」

ムラカミさん
「最近よく質問されるんです、ファッションってどうなるんですかって。じゃあ、なんでファッションやってるの?って訊き返すんですよ。ファッションの何が好きでやってるの?って。単に、服というものが好きなのか、それを着ている自分が好きなのか、かっこいいねって褒められることが好きなのか。ファッションって、そう分解していくと、情緒的なものも含め、いろんな機能があるんですよね。自分がなんでファッションを好きなのか、もう一回見定めたほうが良いと思うんです。軍地さんが言ったように、本当に好きなものは続けられる、中途半端に好きなものは続けられない。そんな中でファッションのどこが、何が好きなのか、これだったら続けられるって確信を持てることを見つけたほうが良いと思います。ファッションにも、伸張しているところ、衰退しているところ、いろいろあるけれど、そこを見極めて行けば、凄くかっこいいファッションがまだまだ提案できるから、僕はファッション辞める気はありません。むしろ、その2回転目を愉しもうと思っています。皆さんにいま確実に言えるアドバイスがあるとすれば、もし、ファッションを通してかっこいいって人に言われたいんだったら、いまは、フードとか空間づくりとかやったほうが、確実にモテますよ!(笑)」

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