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Fashion creator’s Opinion

業界で活躍する方々に、ファッションに関する様々な意見を聞くインタビュー

尾原 蓉子
尾原 蓉子

尾原 蓉子

PROFILE

1962年、東京大学教養学部卒業後、旭化成入社。67年、フルブライト奨学生として米国FITに留学。68年の訳書でファッション・ビジネスの概念を日本に初めて紹介。旭化成に復職しファッション企画室長などを歴任。97年、ハーバード・ビジネス・スクール経営者向けコース修了。IFIビジネススクール学長、日本FIT会会長、ハリウッド大学院大学特任教授ほか。

専門性を持った“女性”の活躍が、ファッション・ビジネスの未来を拓く
日本のファッション・ビジネス(FB)が抱える問題は、クリエイターのビジネスマインドが乏しいこと、ITを活用したグローバルなビジネス展開が遅れていることなどいくつかありますが、最大の問題は、女性が活躍できていないこと。FB業界で働く人の7割、顧客の8割は女性ですから、女性が決定権のあるポジションにいなければ、消費者の声は反映されませんし、FBの未来はありません。そこで、女性のエンパワーメント――力を与え、活躍を促すことを目的に、2014年7月、一般社団法人ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション(WEF)を設立したのです。
女性がビジネスでの決定権を持つ、とは、管理職になるだけではなく、何かについて意思決定し、責任を持って全うするポジションに就くこと。女性リーダーといったほうが適切かもしれません。
WEFは、FBに特化し、業界の主要企業がコミットしているのが特徴です。発起人、資金協力企業、会員企業に錚々たる顔触れが揃ったことは、私の誇りでもあります。
WEFが掲げるミッションステートメントは、「女性のエンパワーメントで、ファッションと世の中を変える」「女性が仕事を通じて自己実現し、幸せを追求する」「女性が子育てをしながらも、活躍できる社会をつくる」の3つ。これらを実現するには、会社の仕組みだけでなく、経営者をはじめとする男性の意識改革が必要ですし、何より女性がその気になることが重要です。
女性の皆さんに望むのは、まず自分の人生を思い描いてみること。死を目前にして人生を後悔するとしたら、その原因の大半は自分で意思決定しなかったからだと思います。若いうちに、そのことに気づいてください。2つ目は、結婚や子育てを理由に仕事を辞めるのではなく、一時的にスローダウンする方法を考えること。私は、最初に「一生仕事をする」と決めて、協力してくれる配偶者を選びました。子育て中は正社員から嘱託契約に切り替え、夫の転勤で姫路に転居した時は、会社と交渉して、4年間、週4日勤務にして乗り切りました。3つ目は、専門性を身につけること。「余人をもって代え難し」といいますが、重要な人材なら会社は譲歩してくれますし、引き留めてくれます。4つ目があるとすれば、問題解決にアウトソーシングを採り入れること。子供が保育園に入るまで、私はお手伝いさんを頼みました。当然お金がかかりますが、子育ては限られた期間。私も35歳までは支出が給料を上回りましたが、一生仕事をするための必要経費だと割り切ったのです。通勤が大変なら、一時的に会社の近くに引っ越すことや、会社に時短勤務を願い出てみることも問題解決になるはず。
今後のFBに期待するのは、日本ならではのクリエーションです。例えば、昔の日本人の浴衣は傷んだら子供用に仕立て直し、その後はおむつにして、雑巾にして、最後は漆喰に混ぜて利用するという完全なリサイクル。これは、今後求められるエシカルやエコロジカルに応え得る文化であり、日本人の得意とする分野です。あるいは、ユニクロのヒートテックのような優れた機能を開発し、日本発で世界にPRしていくことや、ITを利用して、受注分だけ生産・販売する仕組みを進化させることも、FB発展の方向性だと思います。こうした分野を女性が主導していけたら素晴らしいですね。そのためにも、FB業界の女性にはITやマーケティングの専門能力を身につけてほしいと思います。

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