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- 肖像 皆川 明 Vol.4
ファッション業界の最前線で活躍するトップクリエイターの方々にインタビュー

皆川 明 (みながわ あきら)
1967年 東京都大田区に生まれる
1987年 文化服装学院服飾専門課程Ⅱ部服装科に入学
1989年 文化服装学院を卒業後、大西和子のメーカー「P・J・C」などに勤務
1995年 自身のファッションブランド「minä(ミナ)」を設立。東京・八王子にアトリエを構える
1999年 アトリエを阿佐ヶ谷に移す
2000年 アトリエを東京・白金台に移し、初の直営店をオープン
2003年 ブランド名を「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」に改名。フリッツ・ハンセン社とのコラボレーションで、
「minä perhonen」の生地をまとった家具、エッグチェア、スワンチェア、セブンチェアを発表
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目指すは「100年を超えて続くブランド」。
そのためのデザインと次世代を育ててゆく
シンプルだけど素朴。懐かく、しかし、新しいような感覚もある。
そんな「minä perhonen」がつくりだすものは“北欧デザイン”に近いものを感じさせる。
ブランド名も北欧にルーツを持ち、「minä」はフィンランド語で「私」、「perhonen」は「蝶」を指す言葉だ。
また、99年にオリジナルの椅子を発表して以降、テーブルやグラスなど、暮らしの中のデザインもラインナップに加えていく。
ブランド名の由来は、19歳で初めてフィンランドを訪れたこともありますが、正確にはフィンランドだけではなく、北欧、スカンジナビアという土地への興味からですね。その前年に訪れたパリよりも、自分の性に合っている感覚がありました。人とのコミュニケーションが密でしたし、一人旅だったせいもあって、余計に人々が親切に感じました。

自分のデザインを特別“北欧っぽい”とは思っていないのですが、北欧デザインとの共感性がある、とはいえるかもしれません。
僕は「minä」を始める時に「100年続ける」と心に決めました。すると、「100年続くデザインとは何だろう」と考えるようになるわけです。次のシーズンには古くなる服ではなく、エターナルに価値が続いていくような服。こういう考え方は、北欧の家具や建築からヒントを得ています。北欧家具がずっと世界中の人たちから愛されているという事実は、人の感性や思考は人生を通じて大きくは変わらず、好きなものは好きなままということを示している。それはファッションも同じだと思うのです。
逆にいうと、ファッションブランドが家具をつくってもいいはず。実際、「minä perhonen」では家具や陶磁器も手がけています。アプローチと材料が違うだけで、完成に至るデザイン的な思考は、家具もファッションも変わりません。実は今、海外での「minä perhonen」は、ファッションというよりもテキスタイルブランドとして認知されつつあります。テキスタイルで「minä perhonen」の世界観を伝えた後に、「このブランドはファッションもつくるが、家具もつくっている」と知っていただく。そんなあり方が、海外では自然かなと。